課 外 授 業


−8−

 そうんなことを思い出していた俺の身体は、もう何度目か分からないくらいの絶頂を迎えさせられていた。
 容赦なく与えられる刺激は、快感を通り越してもう苦痛でしかなかった。
 にも関わらず、俺の身体は誠一郎を求め続けるのだ。
「もぉ・・・無理ぃ・・・・・・」
「無理じゃないだろっ」
 拒否の言葉を云えば云うだけ更に追い詰められる。
 膝の上に抱き抱えられるような体勢でずっと繋がりっぱなしのそこは、もう感覚がないくらいで、卑猥な音だけが部屋にこだましている。
「俺に探して欲しかったのか?」
「そ、んなぁ・・・」
 探して欲しかったのかと問われれば、多分俺は探して欲しかったんだと思う。でも、そんなこと云える訳がない。
「云ってみろよ・・・・・・探して欲しかったんだろ?」
 耳元に唇を寄せて、触れるか触れないかの距離でささやく。言葉よりもなによりも、その吐息に俺の身体は反応する。
「探して・・・くれなかったじゃないかっ・・・・・・」
 気が付いたら叫んでた。
 今頃「探して欲しかった」とか「探してた」とか、そんなこと突き詰めたって、結局俺も誠一郎も何も動かなかった―――それだけだ。
 今更なんだ―――
 叫んだ拍子にぼろぼろと泣き出した俺を、誠一郎はぎゅっと抱き締めた。
「やっと本音を云いやがった・・・・・・」
 抱き締めた腕をちょっと緩めて俺をのぞき込んできたその誠一郎の顔を、俺は多分一生忘れられないと思った。
 あぁ、誠一郎はやっぱり俺のことが好きなんだって、やけに実感した。それだけで、もういいやって、そう思えた―――俺は今度は自分から誠一郎をぎゅっと抱き締めたのだ。
「探してたさ」
 そんな俺の耳元で囁かれた一言―――俺は瞬間誠一郎が何を云ったのか分からなかった。
 探してたさ―――その言葉が意味として脳に達するまでに10秒はかかったと思う。
 その間、誠一郎は子供をあやすかのように俺の背を撫で続けていた。
「探してたさって・・・・・・」
「だぁから、俺はまじでお前のこと探してたんだっ」
「だって・・・・・・っでぇっ」
 疑いの言葉を投げる俺の頭を、誠一郎はそれまでの優しさがウソのように思いっきり殴ってきた。
 怖かったり意地悪だったり、優しかったり暴力的だったり・・・・・・そして照れ屋だったり―――俺は誠一郎の感情の起伏だけは一生理解できないと思うのだ。
「誰が「ジョウ」だ?誰が18歳だ?」
「あっ!!」
 その時初めて俺は自分の失態に気が付いたのだ。
 探せる訳ねーじゃん・・・・・・
「近隣の大学と高校くまなく探してみても、いる訳ねーよな・・・・・・実際は中3だったなんて・・・・・・ばれたら教員免許取られるくらいじゃすまねーっての」
「・・・・・・まじで、探してくれてたんだ・・・・・・」
「この傷跡が在る限り、お前は俺のものだ。本当に馬鹿は物忘れが激しくてやんなるぜっ」
「っあ・・・・・・」
 傷跡をなめる誠一郎の舌先に、俺は今の状態を思い出す。
 誠一郎の動きは止まってはいたが、萎えることを知らない誠一郎は未だ俺の身体の中を占拠していたのだ。



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