先生のお気に入り
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― 修学旅行編4 ―
ここ知床宇登呂では人工的にオーロラを作り、レーザー光線と合わせたショーで観光客を集めている。
もちろん海城学園の生徒達も類に漏れず、食事が終わるとバスで「オーロラファンタジー」の会場付近まで行くことになっていった。ただ、夜も遅くかなり寒い中でのショーになるので、生徒全員ではなく希望者のみの参加となっていた。 食事が終わり、移動前にコートなど防寒具を取りに一度部屋へ戻る集団の中から、征城は一人そっと抜けだしてホテルの別館―――引率の先生達の部屋があるフロアへと来ていた。 その中のひとつのドアの前に立つと、征城はそっと中を伺うようにドアに耳をつける。しかし中からは物音一つ聞こえてこなかった。 ……居ない? それとも寝てる……? もし寝ているのであればノックをすると起こしてしまうかも、と云う思いにとらわれ、そのドアをたたく事が出来ない。 しばらくそのドアの前に佇んでいたが、征城は一つ溜息をつくと踵を返した。 ―――。 「なんでお前がそんなとこに居るんだよ」 「ドアを塞がれていたら中に入りたくても入れないだろ」 振り返った瞬間征城の目に入ってきたのは、自分を見下ろしている晃の姿―――温泉から戻ったところなのか、いつも掛けているメガネは外されていて髪は半乾きであった。 「具合悪いんじゃなかったのかよ」 「具合?……あぁ、そうだな。それより何の用だ。オーロラを見に行くなら早く行かないとおいていかれるぞ」 ちらりと時計を見ながら晃が云う。 一瞬の沈黙にちょっと不信感を覚えるが、確かに8時から始まる「オーロラファンタジー」を見に行くためのバスはホテルを7時15分に出発する。それに乗る為にはもうこの場を離れなければ間に合わない時間であった。それに乗り遅れるとホテルで皆が戻ってくるまで寂しく待たなければならない。 いくら自由参加と云っていてもほとんどの生徒が参加しているのが現実であり、一人ホテルに残されるのは征城の望むところではなかった。 「じゃぁ、俺行くわ」 そう云いながら晃の横を通り抜けようとする。が、その瞬間征城は腕を捕まれてそのまま晃の部屋へと連れ込まれてしまった。 ばたん、と大きな音を立ててドアが閉まる。 「なんだよ……」 「見舞いに来たんだろ?」 確かに具合が悪そうだと聞いて心配になって来たのだが、はっきり晃の口から云われると素直に頷けない。 「……あんた元気そうじゃん」 ホテルの浴衣を着て、いかにも温泉から戻ったばかりと云う感じの晃は、どこから見ても具合の悪い病人には見えない。 「元気だからな」 「具合悪かったんじゃないのか?」 「誰に聞いたが知らないが、俺はずっと元気だぞ」 「って、じゃぁなんで今頃温泉なんかに浸かってんだよ。今から引率じゃないのかよ」 「今日は休み」 「休みって……?」 「24時間全員が全員フルに働くわけじゃないだろ。夜間引率には割当てがあって、今日俺は引率免除なの」 まぁ、他の免除の先生達はみんな「オーロラファンタジー」見に行くみたいだけどな、と続ける。 「で、昨日の寝不足を取り戻すつもりだったんだが……」 にやりと不敵な笑みを向けつつ近づいてくる晃に、やばいと征城は逃げ出そうとするが、晃の動きのほうが一瞬早かった。 いきなり右腕を掴まれて後ろに捩じられる。 「っ!!何すんだよ……」 何とか振りほどこうとするが、動くと余計に強く腕を取られて更なる痛みが征城を襲う。 「本当は東京戻ってからって思ってたんだけど」 その言葉と共に征城の手首に冷やりとした物が当たりガシャッと音を立た。 「ちょっ」 「もう片方も」 征城の抗議の声も無視して晃は更に続ける。 気が付くと征城は両腕を後ろで拘束されている状態で晃の前に立たされていた。腕を動かすとがしゃがしゃと征城の背中で音が鳴る。 「何だよこれ」 「網走監獄博物館のお土産」 にやりと笑いながら、晃は銀色に輝く小さな鍵を征城の目の前にぶら下げる。 それを見て自分の手首を拘束しているものがおもちゃの手錠であることが分かると、征城はなんとかその手錠を外そうと腕を動かす。しかし、おもちゃではあるがかなり頑丈にできていて、どんなにもがいても外すことは出来なかった。 「外せよっ!!」 ガシャガシャと音を立てて抗議を示すが、晃はそんな征城を楽しそうに眺めているだけで決してその鍵を使おうとはしなかった。それどころかまるで見せびらかす様に鍵を征城の頭上でゆらゆらと揺らす。 「それよこせっ!!」 「お仕置きがすんだらな」 そう云いながら晃は鍵を持った手で軽く征城のおでこを押し、足を軽く払ってそのままベッドへと押し倒した。 ―――っ!! 「何すんだよっ!!」 自分の体重が掛かって手首に痛みが走る。 征城はなんとか体勢を立て直そうとするが、腕が自由にならない上に、晃に圧し掛かられてはどうすることも出来なかった。 「お仕置きって云っただろ」 身動きが取れない征城のネクタイを外しながら晃が耳元で囁く。それだけで自分の鼓動が早くなるのが分かるが、征城はなんとか晃の下から逃れようともがき続けた。 「ちょっ!!やだってっ!!一昨日やったばっかだろっ!!旅行中は手出さないって云ったじゃないかっ!!」 丁寧に一つずつボタンを外し終えた晃の手がズボンのベルトへ伸びると、さすがにやばいと征城は先ほど以上に暴れ始める。しかし、ただでさえ体格差がある上に両手を戒められていては、その反抗も御しやすいものでしかなかった。 「昨日来てたら許してやろうと思ってたけど、お前来なかったからなぁ〜。これはお仕置き。まぁ、自業自得ってやつか?」 「自業自得って、ちょっ……あっ」 軽く耳朶を噛まれただけでぞくっとするような痺れが背筋を襲う。 「晃…やめ……っ」 「ちょっと黙ってろ……」 逃げようとベッドをずり上がろうとする征城の肩を押さえつけながら、晃はそっとその唇を塞ぐ。その口付けすら嫌がるように頭を振る征城を更に押さえつけた。 深く口付けられて舌を絡め取られると、それだけで征城の背中にぞくっとした何とも云えない甘い疼きが駆け上ってくる。 歯列を舐めあげられ、更に深く舌を絡め取られる。だんだんに自分の動きが晃から逃げるものではなく、逆にすがりつくようになって行く。 なんで…… 「はっ……ん……」 大人しくなった征城に気をよくした晃は、口付けを続けたまま征城の下肢へと手を伸ばす。ズボンの隙間から征城自身を軽く撫上げると、びくっと今まで以上に征城の体が跳ね上がった。 「やめろって云ってる割には……気持ちよさげだな」 「ん……やっ」 すでに反応を見せている征城自身を愛撫しながら、晃は丁寧に征城の服を脱がして行った。 |